教育者が覚えておくべき5のこと

Hey, guys mumvallです!
珍しく「教育」について書いてみたいと思います。

対象者:人に教えることがある人

学校教員に限らず、塾講師や新人教育担当者など様々な「教える」を仕事にしている方向けです。
ちなみに私もプログラミング教育に携わっている教育者です。

私が、教育している中で心掛けていることを5のテーマにしてまとめました。
誰かのお役に立てればと思います。

私自身大学で心理学の学習をしていたこともあり、
心理学用語が多くなっていますが、ご了承ください。
できるだけ説明を入れています。

(自分の教育論の備忘録でもあります笑)

①「教える」前に相手を知れ

私たち「教育者」は舞台俳優でもなければ、お笑い芸人でもありません。
またオーディエンスも我々に初めから興味を持っているわけではありません。

あくまで「教育者」なので、一瞬でその場の全員の気を引くことは容易ではありません。

ましてや開始1分で高難易度の(例えば「低レイヤーのデバイスドライバープログラミングなど」)教授を始めれば、
オーディエンスは苦痛でしかないです。

そのためまずは相手を気をこちらに向かせる必要があります

その方法として経験則から効果的だったのが、「相手を知る」ことです。
様々なオーディエンスの属性値(例えば「部活動」「趣味」「学歴や成績」など)を分析し、
共通項を探ってみます。
そしてオーディエンスに一番歩み寄れる属性を理解しましょう。

授業開始時に関連する属性の話から入ってみると、案外こちらに気を向けてくれます。
興味を持ってもらってはじめて「教える」ことに意味を持ちます。

②「学ぼう」とするマインドセットにせよ

はじめから意識が高く、興味をその講義内容に全振りしているオーディエンスばかりではありません。
親に強制的に入塾させられた生徒や、
履修登録時にテストが楽だからという単純な理由で参加した学生や、
研修会に強制的に参加させられているオーディエンスや、
また、まったく意味も感じず、ただ存在するオーディエンスなど様々です。

そんなオーディエンスに対して、講義内容の意義を理解させずに教授をスタートするのは
悪魔の所業です。

ここでマインドセットという用語を定義します。
心理学用語で「物の見方、考え方」といった意味がありますが、
ここでは「講義内容に対する考え方」と定義します。

皆さんは全く興味のない、メリットを感じないものに集中できるでしょうか?
私なら1000%無理です。なぜなら、面白くなく、利益も感じないからです。

そこで私たち教育者はオーディエンスに
ゴールを示し、そのゴールラインに立ったときどんな景色を見ることができ、どんなメリットを享受できるのか
を伝えるべきです。

この内容を習得すれば、こんな素晴らしい状態になれるのだという意識を持たせることができれば、
その講義の上手い下手に関わらず、良いものになるでしょう。

「オーディエンスは当然学ぶもの」というステレオタイプを払拭し、
「オーディエンスの気持ちはこちらで操るもの」と再定義してください。

何もこちらから手を加えなければ「文鎮や銅像」のようにただいるだけのオーディエンスになります。
「受動学習」の効果は薄く、「能動学習」に劣ります。

講義は受動であれ、オーディエンスのモチベーションは能動にもっていってあげるべきです。
これは「教育者」の使命だと私は考えます。

③常にメタ認知を心掛けよ

私たち「教育者」は熱くなりがちで、講義中に自分自身を認識するのは容易ではない存在です。
場の主体は自分であり、その自分が目立っているからです。

しかし、その場に存在する全員を客観的に認知することを忘れてはいけません。
それは自分も例外ではありません。

メタ認知とは心理学用語で「自己に対する高次の認知」のことです。
自分のことを主体的ではなく、客観的にとらえることと考えてもらえるとわかりやすいかもしれません。

自分を主体的にとらえているとき、相対的に「客観的認知能力」は低下しています。(経験則)
自分やオーディエンス一人ひとりを含めた場を客観的に理解するのは、
生得的に存在する能力ではなく、「意識」してはじめて手に入るものだと私は考えています。

そのため、教育者の私たちは常に「客観的認知」を頭の片隅に設置しておかなければなりません

「あっ。いま私は、○○を説明していて、▲▲のことを熱く語っているな。」
「あっ。あのオーディエンスはいま一瞬目線が時計に揺らいだな。集中が切れかけているな。余談いれよう。」
「あっ。あのオーディエンス一瞬表情筋がこわばったな。講義内容の理解が遅れたかな。」

などです。

細かいようで、非常に重要です。
その場にいる誰よりも脳みそをフルで回転させ、場を認知して適切な対処をするのが「教育者」なのです。
そういった面で「教育者」はマルチなプロセスを実行するCPUだと私は考えます。
(失礼しました。最近Ryzen 7 というCPUを買ったのでついふざけてしまいました笑)

④マクロからミクロの視点へ導け

私たちはある分野での「専門家」である場合、
はじめからより専門的な内容を説明することに傾倒することがよくあります。

あまり良いことではありません。

オーディエンスは見えないものに一抹の不安を抱いています。
まずは大枠を理解させ、そこから細かな内容に入るべきです。
相手の脳に体系図を作ってあげる必要があります。

例えば「ひらがなは全部で46個あって、その音を出すための口の形は5個あるよ。まずはその5個の音を覚えよう。せ~の!あ・い・う・え・お」
といった感じです。

非常にわかりやすい例を取ったのは、
専門家が専門的内容をさも前提知識は小学校で習ってるよね?端折っても問題ないよね?的な感覚でしゃべる人が多いからです。笑

教育者としてマクロをおざなりにせず、そしてミクロな内容も包括した教育を行いたいものです。

⑤講義に波を発生させ、オーディエンスをのせてあげよ

平坦な道で景色もあまり変わらない場所をウォーキングしたり、ランニングしたりするのは、非常にしんどいです。

山や川、橋や看板など景色が変わるから人は飽きないのだと思います。

講義も同じでただただ平坦な道を歩く状態では退屈になります。

様々なレパートリーを用意し、俗にピックアップされだしている「アクティブ・ラーニング」なども導入する必要もあるでしょう。
また、細やかで昔から言われていることでもありますが、
発声に関しても、「声色、トーン、抑揚、大小」など様々な要素があります。
これらの属性値がStaticな一次曲線を描く場合、オーディエンスは眠くなる傾向にあります。

大きなやり方から細かな部分まで常に気をかける必要があります。

これは板書でも言えて「黒板にただ文字を連ねるだけ」では退屈するので、
強く書いたり、弱く書いたり、大きく書いたり、小さく書いたり、など変化させる必要があります。

一意にこれとこれが重要とはいいがたいため、皆さんも研究して様々な属性値を変化させてみてください。

最後に

私の人生を変えてくれた「結城浩」先生の「教えるときの心がけ」を継承しています。

結城先生がいなかったらセキュリティに興味を持つことも教育を行うこともなかったでしょう。

結城先生には感謝しかありません。本当にありがとうございます。

みなさんもぜひ結城先生の書籍を読んでみてください。
人生が変わりますよ!